人生を賭けたキャリアの転換。その決意を胸に、私は2024年、イングランドの地に降り立ちました。そして、現地で私が最初に直面したのは、誰も私を知らない、完全な「ひとり」という環境でのトライアウトでした。
エージェントを通して紹介していただいた現所属チームのトライアウトには、私を含め15名ほどの選手が参加。リーグにもチームにも、日本人が一人もいません。
これは、私にとって大きな覚悟の証明でした。
挑戦の現実:アジア人が誰もいないトライアウト

トライアウトでは、ボールタッチ、パス、ロングシュート、対人、ゲームと一通りのメニューを2時間こなしました。一緒に受けた選手が話すブリティッシュ英語は、聞き取るのがやっと。当然、プレー中聞こえてくる指示もなかなか言葉は理解できません。
しかし、この地でボールを蹴れることが新鮮で、すべてが新しい雰囲気にワクワクする思いの方が大きかったことをよく覚えています。
練習後の監督との会話で、私の左足でのプレーを見て、「あなたは左足が上手だが、利き足が左なの?」と質問を受けました。
その質問の意味を英語で瞬間的にくみ取れず、利き足は全然左ではないのに、
思わず笑顔で「Yes!」、監督から「Brilliant!」と言われた会話を今でも鮮明に覚えています。(笑)
※Brilliant=素晴らしい・優秀な
その場で編み出していた「溶け込む術」

初めて参加して感じた現地イングランド女子サッカーの印象は、周囲の選手たちがみんな体格も声も大きいこと。しかし、初めての私に対しても名前をしっかり呼んでくれながら試合でもたくさんパスが回ってきました。
球際はしっかり詰めてくるから、どう1テンポ手前でフェイントをかけようか、状況的にワンツーをかけやすいのでは、など頭をフル回転させながらトライし、プレーできたことがとても楽しかったです。
イングランドは、「個人主義の国」という言葉を聞きますが、私はこの2時間で「溶け込む術(すべ)」を無意識に模索していました。
トライアウトメンバーではなく、すでにチームに所属している選手たちが、空気を読んでみんなを巻き込んだり、初めての人に向こうから声をかけてきてくれるというような雰囲気は全体的にあまりない。でも休憩時間や練習後には、初めてのメンバーももともと在籍する選手も関係なく、みんなでワイワイと盛り上がる雰囲気が新鮮でとても良いなと感じました。
プレー中は、自分から相手の名前を呼び、大きな声を出して、技術でしっかり魅せつつ、仕掛けつつ、近くのポジションの選手に自分から声をかけてコミュニケーションをとる。
英語が下手でも、笑顔でどんどん輪に入っていくしかない。みんな全然Welcome!!な雰囲気。むしろ自分でそのように踏み込んでこそ、だと感じた。
休憩時間も、何人かで話している輪に自分から入ってみる。
そのような勇気が必要なことも、「最初だからこそ、できる気がする」と、私の中の「ド根性Girl」が目を覚ましました。
トライアウトの一回でこのようなことまで考えていたのか、、と、その当日の日記を読みながら、いま書き記しています。
この日の経験がスタートとなり、実際にチームに加入したあと今に至るまでも、
海外選手たちである仲間との信頼関係やコミュニケーション、プレーでの連携や距離感に対して、良い一歩になったと思っています。
さらに詳しい内容は、また別の記事にて紡いでいきます。
契約は、さらなる挑戦への第一歩

トライアウトが終わった翌日、エージェントから連絡があり、「サインしたいと言ってくれているが、どうする?」と。
他にもトライアウトの機会や他チームの雰囲気を見に行きたい思いもありましたが、レベル感もチームとしての雰囲気も良かった。何より、このチームでのサッカーがおもしろそう!もう少し、やってみたい!という思いが残っていたことが大きく、迷わず「契約」という形でお願いしました。
International Clearance(国際選手登録)を経て、その約1ヵ月後から正式に公式戦に出られることになりました。「チームでは日本人、アジア人がただ私ひとり」であり、「言葉の壁」という重圧と「海外でプレーする」というすべてが初めての環境下でのトライアウト。
それは、安定を捨てて海外に飛び込んだ私が、自分自身の強さを試される最初の試練でした。
この一歩が、誰かの勇気となることを願い、私は今日もこのピッチで挑戦を続けます。
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